等級認定に不満の場合

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後遺障害の等級認定に不満の場合、認定を下した損保料率機構に対して異議申し立てをすることができます。この異議申し立ては、症状固定時期から3年という時効期間の範囲内においてする必要があります。自賠責保険会社に時効中断申請書を提出すれば時効期間はさらに3年間延びます。この期間内であれば何度も異議申し立てすることができます。ただし、一回の異議申し立てで数か月から半年くらいの期間はかかります。

異議申し立ては何度でもできますが、損保料率機構が審査し一度決定した等級を被害者有利に覆すことは非常に少ないと言えます。統計によるとおよそ5%です。損害保険会社が申請する事前認定によって出された等級認定に不服で、被害者請求により異議申し立てを行うという事例が多いです。一度下された認定が覆りにくいというのであれば最初から被害者請求によるべきだといえます。

異議申し立ての結果にも不満がある場合は、自賠責紛争処理機構へ申請することができます。こちらは、損保料率機構とは異なる公正中立な機構です。損保料率機構に対する異議申し立てが認められない場合に、原則的に1回のみ利用できます。こちらの審査も3か月以上かかりますので、時効中断の手続はとっておくべきです。

それでも納得できない場合は訴訟を提起することになります。

医師の診断書から

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それでは、どのようにして後遺症の障害等級は決められるのか。その最初は、医師に診断書を作成してもらうことから始まります。ここで、診断書を作成してもらう時期が問題となります。後遺障害の診断書は症状固定と判断された場合に作られます。症状固定とは治療を続けてもこれ以上症状が改善する見込みがない状態に安定した段階のことです。その段階でもなお残存している症状を後遺障害というのです。これらは、まだ示談が成立してない段階の話です。症状が安定していないのに示談交渉なんてしてはいけません。

障害等級取得の申請には二つのやり方があります。事前認定と被害者請求です。もし、被害者が交通事故の後に症状を感じていて、それが後遺障害かもしれないと思った場合には、まず、主治医へ相談をしましょう。その際に「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」か「自動車損害賠償責任保険歯科後遺障害診断書」に既定の項目を記入してもらってください。この用紙は損害保険会社にあります。従前は、診断書に医師が障害等級第○級に該当する等書いたものですが、現在では症状のみを記入します。障害等級は医師が判定するものではないのです。

事前認定であれば、損害保険会社が診断書にレントゲン画像等を添えて損害保険料率算出機構(損保料率機構)に送付することにより、後遺障害の等級認定を申請します。被害者請求であれば、有利な等級認定になるよう他の医者に行ったりしてさらなる資料を集め、自分で損保料率機構に申請します。事前認定であれば、被害者は何もしなくても等級認定申請がなされるのでとても楽です。他方、被害者請求であれば、自身に有利な資料を集めて提出できるというメリットがあります。納得のできる等級認定申請がしたければ弁護士に相談して被害者請求をしたほうがいいといえます。

損保料率機構が、診断書および資料に基づいて等級を査定することになります。

後遺障害の実際

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後遺障害による慰謝料、労働能力喪失率は障害等級により段階づけられています。具体的には、「後遺障害別等級表」による第1級から第14級までの一覧となっております。例えば、第1級は両目を失明した場合などで、保険金額は3000万円(内慰謝料は1100万円)で労働能力喪失率は100%となっています。一番低い第14級は、片目のまぶたの一部に欠損が残るなどで保険金額は75万円(内慰謝料は32万円)、労働能力喪失率は5%です。ここで、この場合の保険金額とは自賠責保険で賄われる保険金額ということです。加害者や加害者加入の任意保険にはもっと請求できます。任意保険における逸失利益の計算も「後遺障害別等級表」による労働能力喪失率で算定されるので、後遺障害の障害等級の取得がとても重要になってくるのです。

ここで、原則的に労働能力喪失率により逸失利益は算定されますが、加害者・被害者両者の主張により、逸失利益や労働能力喪失率は変化します。たとえば、車椅子生活になったとしてもできるオフィスワーカーの場合などで実際に収入の減少がなければ逸失利益は認められません。逆に、現実には収入に影響がないけれども、将来的に昇進・転職等に不利益がある場合に労働能力喪失を認める事例もあります。労働能力喪失の割合は、世の中にたくさんの職業・仕事があるのと同様に、個人個人で異なってきます。「後遺障害別等級表」で○○%と出たから、その数値で示談するのではなく、必ず弁護士に交通事故の後遺症相談をする必要があります。

交通事故にあったら

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交通事故被害で負った後遺症の障害等級取得と言われてなんのことか分かりますか。分かった方はおそらく実際に交通事故に遭われた方だと思います。起こしてしまった方かもしれませんが。なにやらすごく難しくて面倒くさそうなことに思えますが、実は誰しもが関わる可能性のある事柄です。交通事故は誰に起こるか分かりませんから。

交通事故に遭った場合、被害者にはさまざまな損害が出ます。その損害に対し加害者及び加害者が加入している保険会社に請求していくことになります。その請求には大きく分けて、傷害分、後遺障害分、死亡分の三つの請求が考えられます。ここでは、死亡分を割愛します。傷害分の請求とは、交通事故による怪我から直接的に受ける損害に対する請求です。例えば、交通事故で足を骨折した場合を考えます。骨折に対する治療費、通院のための交通費、休業損害、骨折したことに対する慰謝料などがあります。次に後遺障害分です。ここでは、骨折は治りましたが、交通事故により歩行困難になってしまった場合を考えます。歩行困難になったことにより一定程度労働能力が失われることになります。その分、収入が減るので、逸失利益という損害分があります。また、歩行困難になってしまったことに対する慰謝料があります。

歩行困難になってしまったことに対する慰謝料は後遺症の障害等級によって決められます。障害等級とは、障害の状況に応じたランク付けです。他方、逸失利益という損害は、一定の計算式によって算出されることになります。具体的には、まず交通事故前年の基礎年収に労働能力喪失率を掛けます。次に労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数またはホフマン係数を掛けることによって逸失利益を導き出します。労働能力喪失率は、後遺症の障害等級によって決定されます。

すなわち、交通事故被害で負った後遺症の障害等級取得とは、交通事故の後遺障害の逸失利益及び慰謝料を算定するために、障害等級を決めてもらう行為ということができます。